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不死身の男が帰ってきた。
なんか1年後みたいに聞こえるかもしれないけど、正確には前回の壮絶な復讐劇から5日しか経ってないらしい。
いやあれだけ負傷していて、もう二回戦目突入ですか?って感じではありますが、きっと彼なら平気でしょう。
なんせ『不死身の男』ですから。
ということで早速レビューしていきたいと思います。
※この記事にはネタバレがありますのでご注意下さい!
評価
星3つです。
前作には星3.5個をつけました。
『スタイリッシュなアクション』と『シンプルなストーリー』が絶妙に絡み合い、良い化学反応を生み出した結果、高評価を叩き出しました。
では今作はどうだったのかと言いますと、『前作に比べると少々味気がなかった』とでもいいましょうか、少しパッとしない印象でした。
具体的な理由としては『力の入れ具合』が弱かったかなと。
これは演技、演出、構成、などトータルな意味です。
スタイリッシュな演出が前作に比べて増したのかと期待していましたが、特に前作と変わらず。
むしろ、見劣りしていた感じも否めません。(アクションシーンについては【感想】にて詳しく書いています)
それにストーリーも薄かったです。
ジョンの『過去』をもっと取り上げるべきでした。
前作でせっかくジョン・ウィックという男に関心を持ったのに、『ただ単に強い男』ではあまりにもったいない。
というように非情にもったいない印象が目立った作品でした。
とはいえ、映画自体が悪かったかというと決してそうではなく、あくまでもシリーズものとしてもったいなかったという意味です。
感想
一人の男を描いた映画としてはイマイチ。
この映画のタイトルはジョン・ウィックですよね。
タイトルに人の名前を付けちゃうくらい一人の男(人)について取り上げている映画なハズです。
それなのに蓋を開けてみたらどうでしょうか。
1作目で(2作目でも)今は亡き彼女に触れつつも、それを取り上げるような回想シーンなんて一切ありません。
それどころか、ジョンの過去すらほぼ何も知りません。
感情移入しにくいったらありゃしません。
もっと観る人が共感できるような人間臭さや、弱々しさがあった方が良かったかなと個人的には思います。(ギャップってやつですね)
これではただ単に強い男。
『エクスペンタブルズ』のようにチームものではそれでいいかもしれませんが、この映画は一人の男にピックアップした映画ですよね?
ならもっとジョンにフォーカスしなきゃ。
例えばですがジョンの過去が描かれたとして、そこ(過去)ではジョンは子供だとしましょう。
そして自分の父親は現在のジョンみたく、こ〇し屋をしている。ある日自宅にマフィアたちが大勢押し寄せる。そして父親は息を引き取る。ジョンは逃げ延びる。
そこからジョンは父の仇を打つために、日々腕に磨きをかける。マフィアたちと関わるうえで、「目的(父の仇)を遂行する為には感情なんていらない」という事を学び、以来感情を押し込むように・・・
そしてブギーマンになって以来、感情を捨てて仕事をこなしつつ、父を葬った相手を探していたが、そんなとき一人の女性(写真の女性)に出会う。
自分の隠していた弱い部分をすべてさらけ出せるもいい相手を初めて見つけたことに感激したジョンは、いつの日かこの人を一生守りたいという感情でいっぱいに・・・
彼女を守る(危害を与えない)ために父の仇をとることをあきらめたところで、前作につながる。
仮にこのような設定だとジョンが「本当はすごく優しく弱い人間」という事実が頭に刻まれます。
そうすると戦闘シーンで鮮やかにかつ強引に敵を駆逐していくジョンの中に葛藤や慈悲などといった感情が映し出され、深みが増すかと。
過去にあった思い(父や彼女など)が投影されて、非常に味がある人物として描くことが出来たはず。
ということでもっと過去について描いた方がよかったかなと。
いや描いてほしい。
分かってます。結局はいち映画ファンとしてのワガママです(笑)
その点は3部作目が公開されるようなので勝手に期待を膨らませておきます。
7発しか玉がない銃
前作を観て感じたのは『アクションシーンが爽快』ということだ。
何も考えないままでも観れるアクション。そして主人公であるジョンの不死身加減にあっという間に魅入ってしまった。
では今作のアクションシーンはどうだったのか?
緊迫したカーチェイスから始まり、NY中にいるころ〇屋たちに追われつつも返り討ちにしていく、そしてサンティ―ノを追いかけて護衛たちとバトル。
大体こんな感じだろう。
悪くはなかった。しかし前作と比べるとやや見劣りしている感も否めない。
何故かって?
それは「七発しか入っていない拳銃」にある。アレのせいでラストシーンのボリュームが減った。
ラストはマシンガンやショットガン、グレネードやナイフ、そして格闘術をふんだんに使って大盛り上がりを見せてほしかった。
7発縛りさえなければ・・・
それに伴って敵の勢力もっと多ければ・・・
ということでここからは「キングは何故7発しか弾がない銃を渡したのか?」ということについて、詳しく書いていこうと思う。
いよいよ最終決戦という局面を迎えたジョンは、旧友?であるキングに支援を求めた。
そしてキングはジョンにサンティーノを倒すための銃を渡すのだが、その銃には問題があった。
その問題とは、弾が七発入ってないということ。
彼の後ろには強力なマシンガンが何丁も置いてあるのにも関わらず、1番非力であろうハンドガン、しかも弾倉には七発分の弾しかないクソみたいな銃をよこしてきた。
一体何故そんなことを?
彼によるとこうだ。「賞金七百万ドル、君にやる銃弾は七発。一発百万ドルの計算」
!?!?!?!?!?!?!?!?
まったくもって意味が分からない。
縛りプレイが好きなんか?と言いたいところだが、まじめに考察してみる。
5秒間考えた結果1番有力なのは「キングのジョンに対しての恨み、そして未来への期待」だ。
どういうことかというと、ジョンとキングは昔からの知り合いだった。
そして過去にキングはジョンに生かされた。詳細までは分からないが、ジョンはキングの首元に傷をつけたものの殺すことなくその場を去った。
これはキング自ら「君は私に選択肢をくれた。銃を抜き君を後ろから撃ってしぬか、首に受けた傷を抑えて生きるか」
というセリフが証拠だ。
ということはキングは大なり小なりジョンに恨みを持っていると考えるのが普通だろう。
殺されかけたのだから。
しかし今は復讐しようなどとは思っていない。むしろこれからジョンに自分にいいように立ち回ってもらいたいと感じているのだろう。
いやこの時点ではジョンの事をこの場で殺してしまおうと考えていたかもしれない、しかしそのあとキングの巣の中で座りながら話しているシーンで考えが変わったのだろう。
そのことを裏付させるセリフがあった。それはキングが吐いた「この残酷な世界で誰が君を助ける?」というセリフ。ジョンに力を貸そうとしている人の口から出る言葉ではない。
しかしそのあとすぐに意外な展開になる。
それはキングがジョンに銃を渡した。
何故いきなり?と思うかもしれないがその間にはワンクッションあった。
ジョンはキングにこういった。「いまあんたには選択肢がある。戦争をするか、それとも俺に銃をくれるか」
そしてそのセリフを口にした次の瞬間キングは部下に銃を用意させたのだ。
ここでのポイントはジョンが口にしたセリフには『協力に無関心だったキングの考えを変えるだけの力があった』ということだ。
一体どこにそんな効力があったのか?それは今後、キングが自分の身に危険が降りかかるかもしれないという危惧を感じたからだ。
ジョンはキングに選択肢を提示する前にこんなことを言った。
「サンティーノは主席の座を得た。この街を狙っている。この辺りは大丈夫だと思っているのか?」
それに対し自分の身は自分で守ると答えたキングにこう言った。
「いつまでもつ?血も流れるぞ。あんたらがサンティーノをころせば主席連合があんたらを狙う。俺があいつをころせば習われるのは俺。」
そして選択肢のくだりに繋がり、銃を渡すことになる。
このことから分かるのはキングはサンティーノと自分が対立するよりかは今ジョンにいずれ邪魔になるサンティーノを消してもらった方が都合がいい」というように考えていることだ。
誰だって自分が1番かわいい。それは分かる。
そして自分がサンティーノと対峙するよりか、自分よりも強いジョンにサンシーノを消してもらう方が楽ということも分かる。
しかし分からないのは何故7発しか渡さないんだという事。
多少話がこじれた(過去のこともあり)としても腹を括ってジョンに加担(加担という名の利用)したのだ。
なのになぜ7発しか渡さない。
覚悟を決めたなら、少しでも成功確率を上げるべきではないのか?
もしジョンが失敗したら自分が始末する。などと考えているのか?
もしくは過去の事が気にかかり、今は自分の術中であることを示したいのか?
真意は分からないがいずれにしても利口とは言い難い。
ぶっちゃけいうとキングが何考えているかなんてどうでもいい。
弾数に制限されない戦闘+ひたすら現れる敵たちが観たかった・・・
おわりに
個人的には1の方が面白かったなと思いました。
もっと激しいアクションが観たい!!と子供みたいな愚痴を吐いてしまいましたが、あの終わり方からすると3ではスケール大きくなるのではないでしょうか?
え?3出るの知らなかったのですかい?
2019年中に公開されるようですよ!
ということで映画『ジョン・ウィック:チャプター2』のレビューを終わります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
