映画「ハンターキラー」の評価
映画「ハンターキラー」の総合得点
高評価です。星4つ!!!
陸パートの存在や、着地の仕方で既視感を感じさせない。それでいて、潜水艦モノの見どころをきっちりと抑えている。
画的にもイイですし、物語的にもイイ。
男のロマン。いやもう性別越えて、国境を越えて、誰もがロマンを感じるのではという仕上がりでした。
ということでここからは、深く掘り下げて評価していきたいと思います。
「ストーリー」の評価
ではまずはストーリーに関する評価からしていきたいと思います。
今作「ハンターキラー」は所謂、戦艦モノということになりますが、ただのドンパチ作品ではありません。
中盤を過ぎた頃から、オリジナリティ溢れる展開になっていき、同時にドラマティック要素もしっかりと確保されていて良かったのです。
中盤に訪れる最大の見せ場、「陸・海からの同時奇襲」。その最大の見せ場をしっかりと魅せつける為に、登場人物たちを紹介していく序盤、準備段階ですね、ここはダレることなく必要な情報をしっかり提示してくるんですね。
そしてそのままスムーズに、中盤の怒涛のアクションシーンに突入。非常にクオリティ高いアクションシーンだったと思います。と、時間を忘れて画面を見入るわけですが、何より良かったのは着地の仕方。
後味最高の幕の下ろし方だったと思います。
(ネタバレになるのでラストの詳細については割愛させていただきますが)
もうあの着地の仕方こそ、世界平和には必要不可欠。それでいて、アクション映画としても非常に歯切れよく、痛快な終わり方でした。
そしてジョー・グラス。艦長ですね。彼の人間性に厚みをもたらすという意味でもあの着地の仕方は非常に良かったのではないかと思います。
艦長感は十分ありましたが、正直人間的な魅力はあまり感じませんでしたからね。
序盤のテンポの良さを重視する為に、過去に触れるどころか、ほぼ情報ナシの状態でアクションシーンに突入していきましたから仕方ないっちゃ仕方ないんですが。
という様に良くも悪くも端折られた形で、舵を切ることになったジョー・グラス。
ラストシーン(あと中盤の説得シーン)のおかげで艦長的だけでなく、人間的にも素晴らしい人物になることが出来ました。
ということでですね、二度目になりますが着地の仕方は最高!
「ただのアクション映画じゃなく、観た人の心の鐘を鳴らす為にドラマティック、しかもオリジナリティすらあるという非常に満足できる着地。全体的にみても文句なしのストーリーだったと思いますね。
ということで点数をつけるなら10点中8点!
映像の評価
続いては映像に関しての評価です。
ダイナミックな映像に終始圧倒され続けたというのが、率直な感想です。
例えば序盤25分あたりに起こる「敵艦隊から放たれた魚雷回避」シーン。
魚雷から出る泡の一つまでも再現されていて、非常にリアルな海中映像に仕立てていたと思います。
そして驚くにはそれだけではありません。この魚雷回避シーン、BGNの使用を極力抑えている。
どういうことかと言いますと、例えば水中を高速移動する魚雷の音や警報の音、そしてジョーグラスの指示の声やクルーたちのうわずった声などでですね。BGMに頼ることなく緊迫感を再現している。
こことても評価できるポイントだと思うんですよね。制作陣の実力を感じるといいますか。下手にBGMを使って、チープ感を出さないようにとても工夫しているように思えるんです。
あと海中ではないですが、敵艦隊を撃破した時のあの大爆発ショットとかね。「CGの使い方うまいなー」と俯瞰しつつも、やっぱりその一瞬の画を観ただけでアガッちゃう。このシーンだけではありませんが、作り物と分かっていながらもちゃんと楽しめる演出が施されていたと思います。
とまぁこのようにですね、大胆かつ、繊細に再現された海中シーンが映像的には1番の見どころだと思うんですよね。
見どころと言えば、地上戦。
オマケ程度かと高を括っていましたら、びっくらこきました。
まさかあんなに力を込めていたとは・・・
海中パート(機雷を避けるシーン)とは対照的にゴリゴリ激しめのアクションの連続。
海が静なら陸は動。といった感じで情報量多め、目に見える死傷者多め(海パートでは死傷者を直接見えないからね)で、ガチモンのドンパチを繰り広げていました。
全然オマケなんかじゃなかったよ(笑)
ということででですね、これは海パート、陸パート共に言えることなんですが、
「これが観たかったんだ」と思うポイントがきちんと映像化されていて大満足でした。
点数をつけるなら10点中7.5点。
キャラの評価
ラストは演技についてです。
セリフ量は決して多くないジョー・グラス。セリフ量だけでなく、動きも少ないです。
難しい役にも関わらず、主人公感をしっかり再現してみせたジェラルド・バトラー。流石といったところでしょう。
まさに大胆不敵。海の漢というにはふさわしい佇まい。同じ男ながら惚れ惚れせずにはいられない。
そんな羨望のまなざしで彼を見つめていました(笑)
あと、アンドロポフも印象的でしたね。彼の表情といったら(笑)
あんなに長い間、絶望的な表情をキープする演技力。素晴らしすぎる(笑)と素直に絶賛したいところなんですが、終盤くらいにふと「この人もともとこういう顔つきなんじゃ?」という疑問が浮上しまして・・・
まぁそれならそれでも全く問題ないんですが、実際どうなんでしょう(笑)あとで調べてみますね。
まぁそんなわけで、アンドロポフという絶妙な立場にいる人物を、神妙な顔芸で違和感なく演じきってみせた、ミカエル・ニクヴィスト。とても素晴らしい演技をありがとうございます。
とまぁそんな感じでキャスティングも演技力も申し分ない。
強いていうなら、個々の見せ場もうちょっと作ってあげたら?
それくらいですね。
といわけで点数をつけるなら10点中7点!
