今宵も私ミスターカラスが映画を評していく。
目の前に広がる数多の拳。男たちの鋭い眼光、そして鋼のような肉体。
一体何のために鍛えているのか?誰がために戦うのか?数々の疑問が脳裏をかすめます。きっと戦闘中の彼ら皆が同じことを思っていることでしょう。
いえ、ただ一人頑なに意思を持って戦う男がいました。彼の名はケイン。そうこの物語の主人公です。
満月のように丸めた頭。ゴーリキーも驚く屈強な身体。きっと電車の座席では必死になって肩を丸めていることでしょう。
居場所がないのは電車内だけではありません。刑務所の中でも電車同様、肩身が狭い思いをしています。彼が何故刑務所にいるのかは、彼の事務所がNGを出しているので割愛させていただきますが、これだけは言っておきましょう。皆さんが思っているより、ずっと肩身が狭い。歩いているだけで後ろから刺されているしまうことだってあるのです。
これで少しは彼の針のむしろ感が伝わったでしょうか?
同情するなら金をくれ。きっとケインはこんなことを思っていることでしょう。いえ、そんなことをしても彼の状況が良くなることはありません。金で解決できないことだってあるのです。
今の彼に必要なのは、敵を砕くパンチ、キック、そしてチョーク。本来何も生まない暴力ではありますが、地獄のような刑務所内では「未来を切り開くパンチ」にもなりうるのです。
さぁここである事に気づきました。それは「ケインの意思」について触れていない。失礼しました。プリキュアを観ながら書いているものですから、大事なことを忘れていました。
彼の意思について知りたいなら映画を観てください。さすれば分かります。あまりオススメできる作品ではございませんが・・・
ということこれより映画の評価を開始します。
映画「アヴェンジメント」の評価
映画「アヴェンジメント」の総合評価はコチラ!
それではまずは総合的な評価をしていきます。
一流の格闘シーン。に加え、数は少ないが痛さはひしひしと伝わるバイオレンスシーン。そしてマッチョ好きなアナタは興奮すること間違いなしのケインのセクシー筋トレシーン。と楽しむ要素は多々あります。
アクションシーンは特にいい。群がるハエを払うかのように敵を駆逐していくケインの姿をみては一種のカタルシスさえ感じます。
という感じで爽快さは十分にありますが、アクションシーン以外は見どころ少なめでした。
ということで3点。
ストーリーの評価
さぁそれではまずはストーリーに関しての評価でございます。
一見何のドラマもない娯楽映画にも思えますが、最後の最後には心温まる道徳的なシーンが用意されていたりしたので完全なる娯楽映画とは呼べないのかもしれません。
舞台はフォックスリバー州立刑務所がビックリするくらい警備がザルな刑務所と女店長が一人で切り盛りしているしがないバー。
その二つの場所で時系列がごっちゃになりながら、話が展開していくのですが、お分かりの通り、スケール的には非常に狭いので飽きると言えば飽きるのですが、すかさず男たちの戦闘が入るので持ち直して。またちょっと飽きて。みたいな感じでしたね。
主人公はケインただ一人。ですので成長譚みたいなものも期待していましたが、それも今一つ。先述したように、終盤の道徳的な展開にはケインが関わっているものの、大きな盛り上がりを生むわけではなかったですねぇ。
まぁそもそもと言いますか、勧善懲悪ストーリーではないので、ケインの成長&終盤でのカタルシスを期待しているほうがよくないかもしれませんけど・・・
という感じでストーリー的には、タイプでもないですし、人にオススメ出来るほどの要素があったわけでもありませんでした。
点数をつけるなら10点中5点。
映像の評価
続いては映像に関しての評価。
本作の1番の見どころのアクションシーンについてお話します。
結論から言うと期待以上でしたね。主人公ケインは刑務所内で味方を作ることなく、一匹オオカミ的に戦うのです。マイケル・スコフィールドとは対照的です。
サッカーで例えるならば5対1の鳥かご。かくれんぼで例えるなら探すほうが目隠ししているくらい絶望的な状況下で戦う。
その姿はまさに人間版キングコング。縦横無尽に敵を駆逐していく様は観ていて気持ちいいものがありました。
反対に気持ち悪いシーンも多々。歯を階段の角を使って折るという一種の拷問シーンのようなものもあります。
折れる瞬間まで映すものだから痛々しさマックス。バイオレンス映画見慣れていない人にはダイレクトに伝わると思います。
あとはショットガンで足ぶち抜いたり・・・ 一口だけ食べたフライドチキンみたいな足には思わず目を逸らします。
てな感じでバイオレンス描写もほんのりとあったりして、それに加えて一流の肉弾戦があるからアクションシーンは文句なしでしたね。
点数をつけるなら10点中7点といったところです。
演技の評価
ラストは演技に関してです。
が、あまりお話することもないんですよね。
基本アクションシーンで構成されているようなもんだから、演技力が求められるシーンがないという。
ですから今回は演技に関しての評価は割愛させていただきます。
おわりに
勧善懲悪とは無縁とはこの事。正義が通用しない刑務所の中で孤独を胸に戦い抜くケインのその雄姿はあっぱれといったところでしょう。戦っては筋トレし、また戦っては筋トレし、とジャッキー・チェンの主演「クレイジー・モンキー笑拳」や「ロッキー」シリーズを彷彿とさせる修行感には、一瞬馬鹿にしたものの、観ているうちに一緒に筋トレしている自分がそこにいました。古風ではあるものの、やはりそれが原点であり王道。強さを増すには筋トレがベストですね。
ということでこれにて映画「アヴェンジメント」の評価を終わります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
