ポスター – (C) 2016 HERNANDEZ y FERNANDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A.
どう考えても今年ベストな映画。
その名も「家へ帰ろう」
なんだよ家へ帰ろうってって思うかもしれません、私も思いました。
ですがこれが本当に面白いし、泣けるし、カタルシスあるしとあり得ないレベル本当にオススメ。
まだ観てない人は絶対観た方がいいです。
というわけで今回は映画「家へ帰ろう」の評価をしていきたいと思います。
映画「家へ帰ろう」の評価
それではストーリー、映像、キャラと大きく3つに分けて評価していきたいと思います。
ストーリーの評価
それではまずはストーリーに関しての評価から。
上映時間93分と時間的には比較的コンパクトな作品でしたが、その中身はチェホンマンが力いっぱい握って作ったおにぎりのみたいでしたね。 超凝縮されていて密度が半端じゃない。
観終わったあとの満足感は非常に高く、3時間も4時間も観ていたように感じましたね。
ストーリーの良さはたくさんあります、例えば中盤ドイツを跨いで目的地へ向かう際にあるアクシデントが発生し、それによって主人公アブラハムが今までどうしても払拭できなかった負の想いが緩和され、そこに大きな人間ドラマが生まれたり。
ここの人間ドラマがかなり泣ける。国境を超えるドラマがある。そこには大きな大きな軋轢があり、簡単に許しもしないし、許されもしない非常に深刻な問題。過去を償い未来へと繋げる。人間一人一人が真面目に考えなくちゃいけないとてもとても大事な場面。
本当に重いシーンですが、涙出さずにはいられないシーン。
他にはねぇ、これまでどうしても許せなかった相手を許すことになったり。
とかね。88歳のおじいちゃんが様々な経験(稀でリアルな)を通して成長するんですね。
「なんだよおじいちゃんやるじゃんかよ!俺もその歳になってもおじいちゃんみたく粋に生きたいぜ!」
なんて感じでついつい応援したくなる。けどその内容はベタじゃない。凄く重くて、「人生って」って思わずにはいられないくらい重い。
けどおじいちゃんが強い人間だから、暗い気持ちにならずに応援できる。ここんとこのバランスが絶妙で素晴らしい。
とまぁこんな感じで各所に見どころ満載なシーンがあるんですが、これらの比にならないほどラストシーンが素晴らしい。
この物語の良さは全てラストに集約されているといっても過言じゃないでしょう。
「生きる」って辛いことばっかだけどさ、生きててよかったって思えることだってあんじゃん。
そう「生きてて良かった~」の最上級がそこにはあったんですよね。感動という言葉じゃ浅すぎる。もう感無量ですよ本当に。
はい感無量でしたよ本当に・・・
ということでストーリーは今風にいうとかなり良きでしたね。
点数をつけるなら10点中9点!
映像の評価
次は映像に関しての評価です。
圧倒的な映像美!とまではいきませんでしたが、脚本だけでなく映像も非常に凝っていたように感じましたね。
細かい所がお洒落。序盤マリアが歌っていたシーンでは、マリアをみつめるアブラハムにカメラを移した時、まるでファッション雑誌の表紙みたく、お洒落な画に見えましたね。
オレンジのスーツに身を包んだアブラハムが手を組みながらマリアに向かって微笑む。非常にスタイリッシュ。
そのシーンはシーンとしてもショットとしても洒落てる。アブラハムのトイメンに自分が座っているかのようでしたので、スタイリッシュかつ非常にリアリティある場面でした。
でもやはり映像としてもラストが1番良かったかなと思いましてね。
映像美とかではないです。構成的にですね。
まだ観てない人の為に、詳細は伏せますが、中盤のあるシーンがこのラストシーンにパッと蘇る。
シンクロして想いが一層高まる。音楽の使い方でトリガーが無意識に引かれるし、その後のカメラワークも秀逸。
非常に濃密な時間を過ごせる仕組みが施されておりました。
その瞬間を堪能するのはもちろんのことですが、その後の余韻としても残るシーン。
対照的でありつつも、対称的なシーンですから、そりゃ印象に残りますわ。監督の腕が光るシーンでしたねぇ。
というようにラストシーンがとにかくイイんです。
まだ観てない方絶対観た方がいいよ。腰抜かすよ。
ということで抜群の工夫が施されていたラストシーンが秀逸でそこだけで、グンと評価を上げてきましたね。
点数をつけるなら10点中8点!
キャラの評価
最後にキャラの評価です。
アブラハムという88歳の主人公、この人が本当に味があるキャラ。頑固で、おしゃべりで、いじわるでと嫌がられそうな要素ばかりあるはずなのに、魅力的に映ってしまう。
重い過去を背負っているのに、家族がアブラハムに優しくしているしている描写はほぼない。
序盤での家族とのやりとりをみて、家族に心配させない為に、ホロコーストのことは深くは話していないんじゃないかなと思いましたね。
だからでしょうか。一層応援したくなりましたし、中盤で初めて会った女性に、過去の話をしたときは、ほっこり。
あれだけの事を経験したのに、理性的な人間でいれるなんてとても芯が強い人間なんだなと尊敬しました。あんなおじいちゃんに私もなりたい。
とても個性的で、人間味溢れる、重厚なキャラでした。
その他にも魅力的なキャラはたくさん。
ホテルオーナーのマリアは、一見性格悪そうだけど、蓋を開けてみれば、初対面の人に表面的ではなく本質的なことを言えちゃうくらい深みのある女性。
イングリッドは聖母マリアのような心の持ち主。ドイツ人を嫌うアブラハムに、心から償い(自分は直接関係はないのに)、その後も真摯に話を聞き入れた。
聡明で、人の痛みが分かり、包容力もある。
こんな人が政治家になってくれればいいな。
最後はゴーシャ。
嫌な顔しつつも、しっかりとアブラハムを目的地へと連れていく。
途中、気弱になるアブラハムに向けて「生きてるだけで素晴らしい」と励ました。
うん生きてるだけで素晴らしいよ。でもそれを見知らぬ人に言えちゃうあなたこそ素晴らしい人間ですよ。(もちろんアブラハムも素晴らしいです)
あんな人がたくさんいたら、この世はもっともっと素晴らしい世界になるのになぁ。
と、この物語の主力人物たちは非常に魅力的でした。
点数をつけるなら10点中8点。
映画「家に帰ろう」の総合評価
それでは最後にこの映画の総合的な得点を発表して終わりたいと思います。
映画「家に帰ろう」の総合得点は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出ました4点台。私が4点台をつけるのはそうそうない。
決めてはやはり、ラストシーンにありました。
スジ的みても映像的にみても、秀逸なラストシーン。
選曲もいいし、その音楽があの時の映像とダブらせる。町並みは違うけど、想いも違う。
元気にしてるだろうか?辛くてどうにかなりそう。そもそもいるのかも分からない。おそくなったことを許してもらえるだろうか?
様々な想いを抱えつつ、途中挫けながらも前に進む。そして・・・
ともう感無量。
一生忘れられないであろうシーンでした。
名作認定の結果は・・・
間違いない! 名作です。
おわりに
オススメ度100%です。
今年はこれを超える映画はないだろうなぁ。
そう思ってしまうほど、超ドストライクな映画でした。
というわけでこれにて映画「家へ帰ろう」の評価を終わります。
最後まで読んでいただいてありがとうござました。
