ポスター – (C) 2017 Florida Project 2016, LLC.
「フロリダ・プロジェクト」という映画を観たので感想書きます。
映画「フロリダ・プロジェクト」の感想
日常を描いただけの物語に飽き飽きとしながらも、主人公の母子たちが個性的なので、あっという間にラストシーンへ。
久しぶりに観ましたよあんなラスト。一言でいうなら物凄くop感あるラスト。これから物語始まるよ的な。
あっけにとられました(笑)賛否あるようですが、私は好きです。
ムーニーを突如襲った哀しき現実。やり場のない不安をどこに押し付けるかと思っていたら、ジャンシ―の元へ駆けつけるわけで。
そして何故かディズニーへ。完。
というものでしたが、「どんな状況でも愛や絆があれば、なんとかなるよね!」て感じに受け取りました。
実に楽観的。好きですよそういうの。そういう映画って観た後に気持ちが軽くなるからすごく好き大好物。
でもおかしいんですよ。
この映画はそんなこと全くなくて、むしろ重い気持ちになった。
後味最悪でした。
それは何故なのかというと端的に言えば
「主人公ヘイリーの変化が全くといっていいほどなかったから」
旦那に振られたのか何なのか定かではありませんがパートナーはいなく、ムショ出で無職。ちょっとでも嫌なことがあると、すぐ感情的になり怒鳴り散らかす。一人娘のムーニーちゃんには優しいけど、でもただ優しいだけで、いい教育とは到底呼べない。
そんな彼女は最初から最後まで一貫してクレイジー。破滅的だ。確かに捉え方を変えれば、どんな境遇でも人生楽しめちゃうよというタフさはある。けどそのままじゃ通用しないのは、描かれてこそないものの(そういう心理描写)きっと心の奥底では思ってるはず。
確かにムショ出ではなかなか職も見つからないだろう。でもまだ年齢的にみれば若いんだから、何か今のうちにコツコツと(資格でもとったり)積み重ねていけると思う。
それは自分の成長だけじゃなく、子供のムーニーにとっても言えることだと思う。遊ばせることは否定しないが、その子の将来を思って、教えてあげたり、それが自分の手で出来ないなら、誰かにお願いしたり探せばいくらでも方法はあるはず。
でもそういった成長を垣間見られるシーンはなかった。
その点は非常に残念。これじゃ子供も親と同じ人生を歩んでしまう。
そうさせたいなら話は別だが、そんなことはないと思うからモヤモヤしたのです。
いやでもこの映画はさ、ただプロジェクトに住む人たちの日常を鮮やかにして切り取っただけの映画でというなら、映画ではなくドキュメンタリーでやればいいだろうと思いますね。
そう思うくらい、唯一の友情も簡単に壊してしまうくらいの彼女の破滅的な言動や行動には辟易としたし、その後の成長がないことはもっとウンザリさせられました。
ということでストーリーはかなり不満が募る内容でした。
では良い所はなかったのか?
もちろんあります。まずムーニー役であるブルックリン・プリンスの演技が精良であること。
カメラのとの間に壁なんて、1mmも感じさせない。無邪気でどこにでもいそうな女の子を等身大に演じてきっていた。
そこには喜怒哀楽がふんだんに散りばめられていて、基本は陽気なんだけど、ある異変に気付いた時の神妙な面持ちは非常に良くできていた。 「あ、俺も(私も)あの時こんな顔してたんだろなきっと」と昔の記憶を頼りに懐古的になってしまうくらい。
ラスト直前の泣きじゃくるシーンなんて言葉が出ない。目の前に広がる絶望的な景色を、どうにかしようと思うって親友のもとに駆け寄るんだけど、もう限界。この涙とともに、嫌な事なんて全部消えてなくなっちゃえばいい!と言わんばかりの号泣。
ありゃ名シーンですな。簡単に真似できるもんではない。
ということで彼女の演技に関しては満点与えたいレベル。正直彼女の演技があったからラストまで観てられましたね。
それがなかったら、ダラダラした展開と顔だけ美人ヘイリーにイライラして途中で離脱した可能性大です。
おわりに
想像よりパッとしなかった本作。でも意外性だけで言ったら高得点でしょうね(笑)
なんだよあのラスト。不時着すぎるだろと(笑)
ということでこれにて映画「フロリダ・プロジェクト」の感想をおわりたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
