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ポスター – (C) 2019『人間失格』製作委員会
映画「太宰治とさん人の女たち」感想
太宰治という人物について
私は太宰治の作品を一切読んだことがありません。それ故、太宰治がどのような人物に関してほぼ何も分からない状態で観たのですが、鑑賞後すぐに思ったことは「想像以上にピュアな人だった」ということです。
劇中では妻以外に2人の女性に不貞を働き、数々の醜態を見せていたので第一印象としては「立場を利用して、欲を満たす不届きもの」という感じでしたが、物語が進むにつれ、本当の太宰治という人間が見えてきたように思えたのです。
妻の前で泣く。そして心から好きではない富栄と心中する。このような行動を果たして本当に血が通っていない人間がするとは思えません。
太宰はきっと本当は誰よりもピュアで、人間や社会に存在する黒い部分をどうしても受け入れることが出来なかったんじゃないかなとも思えます。
誰よりも賢く、誰よりも純粋だからこそ、誰よりも病んでしまった。そして自分と同じような境遇にいる人たちに対して、小説を通して暖かい手を差し伸べてあげたかったのではないかと思うのです。
間違いを犯してしまった人たちにも、生きる意味はあるんだよと。だから最期、富江に「生きよう!」と言ったんじゃないかな・・・
その言葉は自分が生きたいから言ったんじゃなくて、富江に心から生きて欲しいから。でも富江はきかなかった。だから富江の良心につけこんでしまったことに対する罪悪感と、富江に対する小さじ程度の愛を胸にして逝ったんじゃないかなと思えてですね。
まぁこれに関してはそもそも不倫はダメでしょといった意見もあると思います。が、私としてはそうするしかなかったと言いますか、本当にしたくてしてたんじゃないんじゃないかなと。
というのも間違いを犯した人たちに手を差し伸べるには、自分が間違いを犯してみるのが早い。とそんなことを考えていたんじゃないかなと。ほら劇中でも太宰の口から本当に美しいものは傷ついたものにしか書けない。みたいなこと言ってましたし(セリフうろ覚えです)
でもここで浮上する問題は自分以外の誰かが傷つくということ。
当たり所が悪ければ死ぬこともあるかもしれません。
それでも太宰が不貞を働いたのは
妻である美和子は誰よりも強い女性、そして誰よりも自分の事を理解していたというゆるぎない信頼があった。
静子はハナッから自分を利用してる女と分かってたから、行くとこまでいった。
からじゃないかな。
1つだけ誤算があったとしたら、富江の純粋さでしょう。
想像の何倍も彼女の沼は深かった。(だから責任とって心中した)
とですね真意のほどは太宰治、いや津島修治本人しかわかりませんが、私としては純粋で良い人間に思えてならなかったんです。
ということでですね、これを機にこれから太宰治の小説を読み漁りたいと思います。
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登場人物&キャスト
太宰治:小栗旬
津島美和子:宮沢りえ
山崎富栄:二階堂ふみ
太田静子:沢尻エリカ
制作陣
監督:蜷川実香
脚本:早船歌江子
制作総指揮:大角正
作品情報
制作年:2019年
制作国:日本
上映時間:120分
映倫区分R15+
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